ライフスタイル

北欧現地便り

ユニークに進化を遂げる、いまどきの照明デザイン

インテリアのエッセンスとして、フィンランド人がこだわりを発揮するもののひとつが照明のデザイン。天井から下がるランプシェードにせよ、卓上ランプにせよ、フィンランドの家庭や公共空間の照明器具には、単に部屋を明るくする以上の特性や審美性が強く求められる傾向にあります。例えば、どれだけ人の目に優しく、心地よい照度で空間を照らすことができるか。エコや持久性の面ではどうか。あるいは室内のオブジェのひとつでもある照明自体がどんな形状や素材でできていて、どんなふうに室内の雰囲気となじむか……といったことですね。

北欧といえばかれこれ100年以上も前から、ルイス・ポールセン社やアルテック社、デザイン・エーロ・アールニオなどによって、世界をあっと言わす革新的な照明デザインが生み出されてきました。それらが早くも不朽のクラシカル商品として殿堂入りしていくいっぽうで、今日でも、後に続けと北欧諸国から次々に斬新な照明器具が生まれ続けています。今回は国内でも今注目を集めている、ユニークでコンセプトのわかりやすいメイド・イン・フィンランドの最新照明デザインを5点、ご紹介いたします。

Secto Design社の存在感ある木製ランプシェードOcto 4240

森林資源大国フィンランドの木材を使った、優美で温かみのあるデザインが人気を博し、近年は国内だけでなく世界からオーダーが殺到しているというSecto Desgisn(セクト・デザイン)社の木製照明器具コレクション。建築家としても活躍するコホ・セッポが、ブランド商品に共通した特徴である、細長い木片を束ねて形作った軽やかなデザインバリエーションを一手に担います。商品一つ一つは今なおハンドメイド。国内で丁寧に作られてゆく工芸品でもあるのです。

2005年の発売以来、コレクションの中でもとりわけ存在感があることから、家庭だけでなく公共空間でも度々お目にかかるようになったヒット商品が、日本のぼんぼりのようなまあるいフォルムが愛らしいOcto (オクト)4240。フィンランド産の白樺材でできており、ランプの光源自体がしっかり隠されているのが特徴。 シェード部分のスリットから拡散する光は柔らかい木漏れ日のようでもあり、まるで森のなかにいるような心地よさを感じられるのです。シェード外側の色は、無塗装のバーチ材のほかに、ホワイト、ブラック、ウォルナットと全4種類。

Secto Design公式サイト(日本語) http://sectodesign.jp/

冬の木立のように、ランプシェードのスリットから背景がのぞくのも素敵 Photo by: Lasse Keltto
冬の木立のように、ランプシェードのスリットから背景がのぞくのも素敵
Photo by: Lasse Keltto
存在感があるので世界中のレストランやカフェ、オフィスでも引っ張りだこ Photo by: Honkarakenne Oyj / Jukka Töyli
存在感があるので世界中のレストランやカフェ、オフィスでも引っ張りだこ
Photo by: Honkarakenne Oyj / Jukka Töyli

エレガントな豆電球で卓上をスマートに照らす、Tunto社のLEDシリーズ

フィンランド南部の街ヤルヴェンパーに工房を構え、木材と最新のテクノロジーを組み合わせた革新的な照明づくりに注力しているデザインスタジオ、Tunto(トゥント)。メインデザイナーのミッコ・カルッカネンが、LEDランプと国産の木材とを融合させた、優雅で機能性の高い卓上ランプや壁ランプを次々に提案しています。過去に3年連続レッド・ドット・デザイン賞が授与されるなど、華々しい受賞歴もこの小さな新星デザインブランドの実績を裏付けます。

Tunto社の名を国内に知らしめたのが、現在LED1〜LED60まで全7種類発表されている、その名もLEDシリーズ。細長いベニヤ板をくっと曲げたエレガントなオブジェの先に、星座のようにちりばめられた小さなLED豆電球。これだけで本当に充分な照度が得られるの!?と一瞬疑ってしまいますが、実際に卓上で使用してみると、明るすぎず暗すぎず、ちょうど快適な明るさでデスクワークがはかどります。カラーバリエーションも豊富で、木目調のものだけでも、オーク、松、白樺などさまざまな国産木のパターンが揃っています。2013年に発表されたLED8は、なんと脚の部分に携帯を置いておくだけでバッテリーのワイヤレスチャージが可能というさらなるハイテクぶりが、話題を呼びました。

Tunto公式サイト(英語) http://tunto.com/tunto/

※2014年現在、日本での商品取り扱いは未定

オフィスデスクにぴったりなサイズのLED4。
オフィスデスクにぴったりなサイズのLED4。ベニヤ板オブジェの天井部分に埋め込まれたLEDの豆電球だけで、卓上を充分明るく照らしてくれる
LED8は、なんと携帯を脚部分にセットするだけでワイヤレス充電が可能
LED4よりもやや背の高いLED8は、なんと携帯を脚部分にセットするだけでワイヤレス充電が可能というハイテク機能付き!

額の内部一面から光が放たれる、Artek社の哲学的な床&壁ランプWhite 2

照明部門では、巨匠アルヴァ・アールトやタピオ・ヴィルッカラ、ユハ・レイヴィスカらがデザインした不朽のデザインランプを主に扱っている、フィンランドの老舗家具ブランドArtek(アルテック)社。こうした過去の巨匠たちの復刻作品だけでなく、今現在もスタジオのデザイナーによって時代にあったモダンな照明デザインが生み出されているのをご存知でしょうか。

近年White(ホワイト)というシリーズ名で、ありそうでなかった斬新なランプの姿を世に提起しているのが、スタジオデザイナーのヴィッレ・コッコネン。彼は、個性的な照明デザインは器具自体の主張が光よりも強すぎるのではないか、という考えから、本来我々が照明器具に求めている「白く明るい光」それだけが浮き立ち存在を放つようなランプのデザインに注力しました。その結果生まれたのが、器具自体が空間や壁に同化しそうなほど主張を控えた、まさにランプの究極形。

壁ランプや床ランプとして使われるWhite2は、もはやランプ自体は無機質な額縁のよう。スイッチをいれると、額に引き立てられた絵画のように白い光が存在感を強め、空間を煌々と照らします。照明というものの在り方そのものを考えさせられる、哲学的なランプと言えるでしょうか。

Artek社公式サイト(英語)http://www.artek.fi/index.html

日本国内取り扱い店舗一覧 http://www.artek.fi/contacts/distribution/Japan

不思議な心地を与えてくれるWhite2壁ランプ
まるで額縁のなかが光に包まれた別世界に繋がっているような、不思議な心地を与えてくれるWhite2壁ランプ
壁に立てかけるようにして床に設置する利用方法も
壁に立てかけるようにして床に設置する利用方法も

ボール紙でできたエコでカジュアルな& Bros.社のCompleatedランプシェード

& Bros.(アンドブロス)社は、ヘルシンキのアールト大学で出会い意気投合したという3人のデザイナーと1人のグラフィックデザイナーによって2011年に開設された、気鋭のデザインスタジオ。フィンランド・デザインといえば従来テキスタイルと食器が有名なので、何かそれ以外のものを積極的に作っていこう!と、今ではランプシェードからアクセサリーまで幅広く手がけており、どれも遊び心に満ちた、生活を楽しくしてくれるデザインばかり。

アンッティ=ユッシ・シルヴェンノイネンとペッカ・クイヴァマキの2人の手によってデザインされ、国内デザインアワード2014で栄えあるランプ・オブ・ザ・イヤーを受賞したCompleted(コンプリーテッド)ランプシェードシリーズは、見ての通り、形状自体はとてもクラシカル。けれど素材はラミネート加工されたボール紙で、購入時にはなんと素材がきっちり畳まれた状態で底の浅い箱に収まっています!ボール紙はエコで持久力にも優れた素材として近年彼らが注目しており、好評を博したこのランプシェードのデザインと工法は後に壁ランプ用、卓上ランプ用にも応用されました。外色は色とりどりに揃っていますが、笠の内部は光が拡散するように白色で統一されています。

& Bros.公式サイト(英語) http://home.andbros.fi/

※2014年現在、日本での商品取り扱いは未定

ボール紙製のランプシェードはポップでカジュアルな印象を与える
ボール紙製のランプシェードはポップでカジュアルな印象を与える
購入時にはコンパクトに畳まれており、購入者自身が組み立てる仕組み
購入時にはコンパクトに畳まれており、購入者自身が組み立てる仕組み

不思議と愛着が湧いてくる形状。Uckoデザインスタジオの卓上ランプMute

フィンランド第二の都市タンペレを拠点とするUckoは、若手プロダクトデザイナーのユホ・ピュカライネンが個人で立ち上げた小さなデザインスタジオ。木やリサイクル素材など温もりのある素材が持てはやされるなかで、ピュカライネンはあえてスティールやアルミニウムを利用することに徹しており、これまでに2つの卓上ランプと、座椅子、コーヒーテーブルを発表。そのフォルムはいずれも独創的で、常に北欧の自然やライフスタイルのなかにインスピレーション求め、デザインに活かしてゆくのだそう。

ピュカライネンが2013年に発表したやや大きめの卓上ランプMute(ミュート)は、糸電話のような天井の抜けた筒型の形状と、金属ならではの発色良いターコイズブルーが特徴。シンプルだけど吸引力のあるデザインです。電球自体は見えないようになっており、白色の内部を伝って開口部から発散される間接光が手元を照らしてくれます。誰かが大きく口を開けてあくびしているようなユニークな形状に、知らぬ間に癒され愛着が湧いてくる、不思議な魅力を持ったランプです。

Ucko公式サイト(英語) http://www.ucko.fi/

※2014年現在、日本での商品取り扱いは未定

御用提灯にも似ている?ユニークな筒型の形状が目を引く
御用提灯にも似ている?ユニークな筒型の形状が目を引く
Paavo Pykäläinen Photography
サイズは大きめなのでナイトテーブル用のランプとしても活用できそう
サイズは大きめなのでナイトテーブル用のランプとしても活用できそう
Paavo Pykäläinen Photography

TEXT : こばやしあやな

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