ライフスタイル

北欧現地便り

スウェーデンの夏の風物詩 ザリガニパーティー

スウェーデンでは毎年8月はじめにザリガニ漁が解禁となるため、多くの人が8月8日から9月の末にかけて、Kräftskiva(クレフトシ―ヴァ)と呼ばれるザリガニパーティーを行います。

かつては国中どの湖沼や川にもザリガニがいて、一年を通して捕獲し食べる事ができ、中でもスウェーデン中部で捕れるザリガニは、黒い金“黒金”と呼ばれるほどの高級食材として、パリやロンドンなどの高級レストランに輸出されていたほど。重要な収入源だった為密漁や乱獲が重なり、禁漁になったのです。毎年8月ザリガニ漁が解禁になると、国民はこの旬の味覚を楽むようになりました。その名残で一年中冷凍ものが食べられるようになった現在も、昔の慣習に従いこの時期出回るその年のザリガニに、国民は舌鼓を打ちます。

このパーティーは他の北欧諸国でも行われているようですが、スウェーデンが発祥の地で16世紀からある伝統文化なので、よく各家庭や友人同士などで盛大に行われます。
ザリガニパーティーはよく野外で行われます。8月半ばに入ると大分日も短くなってきて外も少々冷えますが、日本と比べるとまだまだ日は長いです。これからの厳しく暗い冬に備えて、スウェーデン人達はわずかな夏の光と暖かさを感じながら、アウトドアを楽しむのです。

今回は、中庭にあるガラス張りの部屋でパーティーをしました。
天井には『月に顔(man in the moon)』のランタンをぶら下げ、テーブルにはザリガニパーティー用のにぎやかなデコレーションやザリガニ柄の食器とパーティーハットが並べられます。
テーブルセッティングのお手伝いをする娘のメイヤ(8歳)。最近ではザリガニパーティー用グッズも増えていて、見ているだけで楽しい気分になれます。

『月に顔(man in the moon)』のランタン
テーブルセッティングのお手伝いをする娘のメイヤ

スウェーデンで有名なグスタヴスベリの陶芸家スティーグ・リンドベリデザインの食器やペーパーナプキンを使いました。

スティーグ・リンドベリデザインの食器やペーパーナプキン

料理の主役はもちろんザリガニ。ザリガニというと日本では泥臭いイメージがするかもしれませんが、スウェーデンのものは湖などに生息する淡水の物なのであまり臭みがありません。塩を溶かしたお湯に、ザリガニとディル(セリ科のハーブ)、そして角砂糖を入れて茹でて、冷やしてから食べます。

料理の主役はもちろんザリガニ
料理の主役はもちろんザリガニ

ザリガニに加えて、様々な種類のチーズの盛り合わせやパン、ヴェステルボッテンチーズのパイ、サーモンのパイなどを食べるのが主流で、今回はレストランを経営する友人が自家製のスウェーデン風ミートボールとソーセージを持ってきてくれました。

様々なパーティーフード
パイ

ザリガニパーティーに一番忘れてはいけない飲み物といえば、アクアヴィットです。スウェーデンではスナップスやヌッベとも呼ばれており、麦やジャガイモからできた蒸留酒です。小さなグラスに入れては何度も乾杯をして、みんな一斉に一気飲みをします。アルコール度数が40度もあるので飲みすぎに注意しなければなりません。

スウェーデン人はお酒に強い人が多く、シャイなスウェーデン人もアクアヴィットを飲んでしまえば、宴の歌を歌っては何度も乾杯を繰り返します。

アクアヴィットで乾杯

さて、外も薄暗くなってきた午後6時頃パーティーの始まりです。
全員が頭にザリガニ模様のパーティーハットを被り、宴の歌を歌い、スナップスでスコール(乾杯)!!

乾杯!
乾杯!

全員の手は一気にザリガニの方へ。 ザリガニの食べ方にも大きな特徴があり、豪快にザリガニを半分に裂いて、まずは頭の部分にしみこんだお汁をじゅるじゅると吸います。この時、音を立てて食べても大丈夫。それから頭の部分を取り外し、味噌をすくって堪能します。残った汁もパンにしみこませて、心ゆくまでザリガニの味を味わうのが正当な食べ方なのです。

じゅるじゅるとザリガニを吸いながら食べる音が部屋中に響き渡ります。ちなみに今回のザリガニの数は100匹!7人であっという間に完食し、宴は延々、1時まで続きました。

全員の手は一気にザリガニの方へ
宴は延々、深夜まで続く

TEXT : 佐藤公美

BACK NUMBER