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北欧現地便り

フィンランド家庭キッチンに欠かせない、3つの機能的デザイン

家族が集う食事の時間や、知人を招いてのホームパーティの機会を大切にするフィンランド人。そんな彼らにとって、キッチンはとりわけ利便性や快適性に長けたデザインが求められる重要な空間です。

実は現代のフィンランド人のキッチンは、ファミリーの住む戸建てでも学生アパートでも、作業場所の広さにこそ違いがあれど、基本的なつくりや設備はほぼ同じ。とりわけどんなキッチンでもほぼ確実に見られる、フィンランド人ならではのアイデアが光った機能的な設備を3点ご紹介します。

1. 食器の乾燥と収納をオールインワンにした、画期的な食器棚

シンクの真上の戸棚を開けてびっくり。なんとフィンランドのキッチンでは、食器の水切りかごがそのまま食器棚として、戸の内側に収まっているのです!
つまり、洗いあげた食器を直接収納できるので、いったん水切りかごで乾かしてから戸棚へ
……という皿洗い後の一手間をごっそり省けるというわけです。

シンプルだけれどなんとも画期的なこのアイデアは、なんと1940年台半ばにフィンランド人のとある家庭科教師が提案して実用化され、またたく間にフィンランドキッチンのデフォルト標準仕様になったものです。共働きで忙しい家庭では、これによって家事の一手間を省くことができるし、従来の水切りかごが占拠する卓上スペースも作業に使えて大助かり。もちろん現在では多くの家庭が食洗機を導入していますが、ささっとすすいだり手洗いした食器を手軽に戸棚のなかで乾燥できるこのシステムは、今日でももちろん重宝されています。
ちなみに、シンク下の収納棚には分別用ゴミ箱が必ず設置されているので、ゴミも扉の内側に隠してしまうことができます。

洗いあげた食器を直接収納してしまえる戸棚
洗いあげた食器を直接収納してしまえる戸棚。水切りカゴが不要な分、卓上の作業スペースも広がる
洗いあげた食器を直接収納してしまえる戸棚
シンクの真上に設置されているので、戸棚のなかで水切りが完了するというユニークなアイデア

2. 間仕切りで隔てられたシンクでは、節水できて作業効率もアップ

フィンランドキッチンの第の特徴は、シンクが間仕切りによってつのスペースに隔てられていること。一般的には、片方に温水を貯めて洗剤を何滴か垂らして泡立て、つけ洗いに利用。もう片方はすすぎ用……というように使い分けられています。あるいは調理時に、片方のスペースを一時的な生ごみ集積コーナーとして使うことも。

間仕切りは、まな板など大きなものを洗うときには不便に感じたりもしますが、水を貯めて効率よく皿洗いを進められて節水にもつながるので、まさに一石二鳥です!

2スペースに隔てられたシンク
2スペースに隔てられたシンクは、すすぎ用/つけ洗い用など多様に使える

3. 電気コンロ&オーブンの合体調理機が主流。昔ながらの薪オーブンを併用する家庭も

今なお木造住宅も少なくないフィンランドでは、安全面を重視して電気コンロ(IH型または電熱線型)の利用が普通。通常は大小それぞれのコンロが口ずつついていて、調理後のお手入れもさっと拭くだけでよいのでお手軽です。また、コンロの下には漏れなく広々としたオーブンが設置されており、加熱調理はこのコンロ&オーブンが合体したボックス型調理機ですべて済ませてしまうことができます。フィンランド人はパンやケーキ作りが日常的ですし、じっくりと時間をかけて火を通す伝統オーブン料理がいろいろあるので、どんなに小さなキッチンでもオーブンだけは不可欠なのです。

いっぽう暖炉のある家庭では、今でもしばしば、昔ながらの薪オーブンを現代的な調理機と併用しています。薪の強い火力を活用した調理用鉄板は、使うことで部屋自体も温めてくれるし、グリル料理はもちろんパーティー料理の保温などにも大活躍します!

広々としたオーブン
パンづくりやオーブン料理が好きなフィンランド人のキッチンには、コンロはもちろん広々としたオーブンが不可欠
暖炉のある家庭では、薪を燃やした火力で保温や調理ができる鉄板も活用される

TEXT : こばやしあやな

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