ハウジング

本場北欧ハウスお宅拝見

ケルットゥ・ピュルヴァナイネンさん

人気インテリアブロガー/ムーラメ在住

建築家アルヴァ・アールトが設計した教会が有名な、中部フィンランドの街、ムーラメ(Muurame)。この街の住みよさと美しさに憧れ、移住をきっかけに始めたインテリア・デザイン系のブログがヒットし、多くのファンを抱えている人気ブロガー、ケルットゥ・ピュルヴァナイネンさんに自慢のお家を拝見させていただきました。 新居への移住をきっかけに始めたインテリア・デザイン系のブログがヒットし、現在フィンランド屈指の人気ブロガーとして多くのファンを抱えるケルットゥ・ピュルヴァナイネンさん。
建築分野の勉強経験はないけれど、新居の設計には感度の高い主婦目線でのアイディアや理想を多分に取り入れてもらい、家具やインテリアはもちろん自身でチョイス。
彼女は今、夫さんと6歳の娘さん、9ヶ月になった赤ん坊と4人で、賑やかな育児生活を謳歌中です。ちょうど自分以外の家族がおばあちゃんの家に帰省した週末に、「今ならどうにか片付けの行き届いたお部屋を見てもらえるから(笑)」と、国内メディアでも度々取り上げられている自慢のお家を拝見させていただきました。

キーワードは、レス・イズ・モア。
本当に必要な色と物だけで空間を構成

建築家アルヴァ・アールトが1920年代に設計した丘の上の教会が有名な、森や湖の狭間に小さく開けた中部フィンランドの街、ムーラメ(Muurame)。街の規模こそ小さいけれど、風光明媚で教育福祉サービスの質が高いことから、近年はゆっとりとした戸建てを構えて移住してくる若い家族が増え、幹線沿いに新興住宅地が広がりつつあります。ケルットゥさんも、2012年にこの街の住みよさと美しさに憧れて念願のマイハウスを建てた一人です。

お家の玄関から奥に通されると、そこにはキッチン・ダイニング・リビングがひと続きになった、とても開放的で明るい、伸びやかな空間が出迎えてくれます。そして、育ち盛りの子どもが2人もいるとはとても思えないほど、どこを見渡しても無駄なものが一切見当たらず、シンプルで選びぬかれた家具だけがその場に心地よく馴染んでいます。「見ての通り、この家ではとにかくレス・イズ・モアの精神を大事にして、できるだけシンプルでモダンな空間を保てるよう努力しているの。」とケルットゥさん。

もちろん、この白色基調の清楚な部屋も、普段はすぐに子どもたちの遊び道具や服で雑然としてしまうそう。それでも、絵画のカンバス地のような存在である室内空間がシンプルであるほど、そこに暮らす人たちの生彩や日々の変化が際立つというもの。「住居はカタログハウスではないものね。」と笑うケルットゥさんは、普段はここで子どもたちにめいっぱい遊ばせ、時間を見つけてはせっせと片付け、の繰り返しだそう。最近は月に2度ほど、プロのお掃除屋にもルームクリーニングを委託しているそうです。

モノトーンをベースにしながらも、
自然素材やキャンドルライトで温かさをプラス

リビングスペースの家具のまとめ方を見てもわかるように、ケルットゥさんのこだわりは、インテリアを極力モノトーン色でまとめてしまうこと。カーテンにさえもビビッドな差し色は控え、空間全体ができるだけどの時間帯も白く明るく見えるよう、白と黒のバランスにも気を配っています。とはいえ、まったくのモノトーンだけでは空間が少し寂しく見えてしまいます。そこで、さり気なく木材や観葉植物など自然の温かみをプラスしたり、黄色を帯びたキャンドルライトや白熱灯を灯したりすることで、清楚な中に柔らかさや温かさを上手に取り込んでいます。特にキャンドルは、暗い時間が長い冬に心を明るくしてくれるマストアイテム。もちろん子どもが遊んでいるそばでは迂闊に着火できませんが、食卓などでは、小さいうちから子どもたちが火の美しさや安全な取扱い方を学ぶ教材にもなるようです。

リビングスペースの壁の一面は、なんとすべてガラス窓。実際リビングスペースの頭上にはわずかな間接照明以外の照明器具がまったくありませんが、庭のほうから差し込む光を白い壁や床が拡散して、まるで雪あかりを享受しているような明るい空間を作り出しています。「外の世界から入ってくる自然光だって、インテリアの大事な一部」というのが、ケルットゥさんしかり、フィンランド人たちの持論です。

テレビや映画鑑賞のための部屋は、
あえてリビングから切り離して

多くのフィンランド家庭では、みんなが集いくつろぐリビングルームにテレビやオーディオ機器を設置しています。けれどケルットゥさんの家では、家族たちの会話や団欒を守るためにあえてリビングルームにはテレビを置かず、別室で視聴覚部屋を設けています。こちらの部屋は照度や開放感を重視した他の部屋とは異なり、あえてやや暗くコンパクトに作られているのがポイント。テレビの置かれた壁の面にはホワイトスクリーンも引き下ろせるようになっていて、テレビ鑑賞だけでなく本格的な映写鑑賞タイムも楽しめます。

周りの壁にはそのときどきでお気に入りの作品のDVDやポスターが置き飾れる飾り棚も設置されていて、まさに家族内のトレンドやお気に入りを共有できる、コージーな空間になっています。

子供部屋のインテリアづくりの際には
子供自身にも選択の余地を与える

家族の中でインテリアを主導する人は、つい家全体を自分のやりたいようにトータルコーディネートしたいと考えてしまいますが、他の家族メンバーの部屋は、たとえまだ小さな子供であっても、その個人が心地よくプライベート時間を過ごせるように本人の趣味や意向を尊重してあげることが大切だと、ケルットゥさんは考えます。例えば長女ステッラちゃんのお部屋の壁紙の色やタペストリーを決める際には、両親が3〜5種類のサンプルを本人に見せて、彼女が選んだものを元にコーディネートをしたのだそう。他にも、ケルットゥさんが人気インテリアブロガーとして主張する、子供部屋のインテリアづくりにおける大切な3箇条は…

1.子供の急成長を見越し、インテリアも今向けではなく一歩先を見据えて
フィンランドでは、赤ん坊に早いうちから自分の部屋のベッドで寝る習慣づけをさせることが多く、かなり幼少期から自分の部屋、あるいは兄弟部屋を与えてもらう子供も少なくありません。それでも子供は否応無しに成長し大人に近づいていくので、始めからある程度成長した時を見据えてインテリアや雰囲気を整えてあげたほうが、より良い物に躊躇なく投資できるメリットがあります。

2.子供が遊ぶ日常をイメージして物を選ぶ
たとえば触ったり舐めたりしても無害で、汚れても簡単に洗ったり拭き取れる素材を選ぶなど、親として、我が子が安心安全に過ごせる居場所づくりのための配慮をしてあげることは大事。そのためには、彼らの遊びのシーンをよく観察し、イメージすることが大切です。

3.子供に良品を与えることを惜しまない
「しょせん子供が使うのもの」という発想で物を買わず、できるだけ長持ちして子供も喜んで使ってくれそうな良品への投資を心がけるのも大事。それは子供への愛情表現でもあるのです。

季節を問わずテラスでくつろぎたいから
ガラス張りのひとつの部屋のように

ケルットゥさんのお家では、テラスは室内と庭をつなぐひとつの「部屋」のようなもの。空間の大部分が可動式ガラス壁で覆ってあるので、もちろん気候がよい春から夏の間はこれらを開放して外の空気を採り入れられるし、寒い冬場でも外の雪景色を楽しみながらの団らん時間が楽しめるのです。もちろんカーテンのないガラス壁からは中の様子が丸見えなので、外観の雰囲気とも調和するようにテーブル・イスやソファなどインテリアのチョイスにも気を配って。さらに、クリスマスツリーなど季節のデコレーションも飾って、外から眺めても中に居ても楽しめるような中立的な空間を作り出しています。

このように、間取りから家具・インテリアの選択までにしっかりとしたコンセプトと感性を反映し、家族の生活感を大切にしながらもこまめな片付けや手入れで、誰もが憧れる優美なモダンホームを維持し続けているケルットゥさん。いつまでたっても物のあふれないすっきりとした空間を維持する最大の秘訣は、「どんなものでも新しい買い物の前は常に慎重になり、本当に必要なものかをよく考えて、古いものをひとつ必ず捨てる覚悟で次のものを迎えること」なのだそう。流行に敏感すぎたり衝動買いを許してしまうと、結局一時的にしか自分たちを楽しませてくれないようなものが増えてしまいがち。そうではなくて、いかにタイムレスで、いつまでも愛着を持って大事にできるだけをゆっくり買え揃えていくというのが、人気インテリアブロガーのポリシーなのです。

ケルットゥさんの人気ブログは、内容が読めなくても写真を眺めているだけでも世界中の北欧デザイン好きを楽しませてくれます。自宅の様子だけでなく、ヘルシンキなどのインテリアショップや関連イベントめぐりのレポートなども満載。ぜひチェックしてみてください!

Kerttu Pylvänäinenさんのブログ ”Modernisti kodikas”
http://divaaniblogit.fi/modernistikodikas/

ケルットゥさんのお気に入りアイテム3点

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リビングのソファ上に架けられている、フィンランド人現代画家ミニャ・レヴォンコルピの抽象絵画作品。実はこの部屋のこの壁にふさわしい作品を…とご本人に依頼して描いてもらった絵画で、さまざまな人の命やその平等性がシンボリックに表現されている。

フィンランドのフィスカルス村で生まれた家具工房二カリの椅子December XL。イギリス人デザイナーのジャスパー・モリソンと日本人デザイナー熊野亘が共同で発表したシリーズで、見た目の優美さだけでなく素材の安心度も高く、非の打ち所がないとお気に入り。腰掛けるだけでなく、ノートパソコンでブログを書くときのアシスト台としても活用している。

地元の家具店で見つけた、ありそうでなかなかない正方形の真っ白な食卓。作者などは不明だが、家族やお客さんと四方を取り囲んで顔を見合いながら食事を楽しめるのでとても気に入っている。頭上のオクト社の大きな木製ランプから卓上に落ちてくるまあるい光のシルエットも美しく、椅子も含めてひとつの大きな花のように見える。

TEXT : こばやしあやな

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