ハウジング

本場北欧ハウスお宅拝見

カーステン・ラオリッツェンさん

家具デザイナー、フレデリクスベア市会議員/フレデリクスベア在住

コペンハーゲンに隣接する、フレデリクスベアに生まれ育ち、結婚後も住み続けているカーステンさん。家族と暮らすフレデリクスベアの家を訪ねました。 「北欧じかん」でもご紹介した、コペンハーゲンのアトリエショップ「デザイナー・ズー」。家具や陶器、ガラス工芸などのデザイナー達が共同運営する店として、デンマークではパイオニア的な存在ですが、そのオーナーが家具デザイナーのカーステン・ラオリッツェンさんです。彼は、コペンハーゲンに隣接する、フレデリクスベアに生まれ育ち、結婚後も住み続けています。そんな地元愛が嵩じ、現在は市議会議員という肩書きも加わりました。ますます忙しくなったカーステンさんが、心理カウンセラーの奥様、アヌメッテさん、6歳のお嬢さん、ユリエちゃん、そして黒柴のミルーと暮らす家を訪ねました。

家族で寛いだり、
趣味の時間を愉しむリビング

カーステンさん一家がここに引っ越してきたのは2年半前。1928年に著名建築家によって建てられたこの家が気に入ったからだそう。
「フレデリクスベアは、歴史的に富裕層が多く住む地区だったせいか、しっかりと建てられた家が多いのです。とはいっても、外観からはその良さはわかりませんが、中にはいると、間取りや窓の大きさ、自然光の取り入れ方、そして、窓からの風景と、総合的に工夫されていることがよくわかります。」と、カーステンさん。1階はリビング、庭に面したサンルーム、キッチンとダイニング、2階は主寝室、子供部屋というシンプルな間取りですが、270m2という余裕たっぷりの広さです。

ご一家は、自宅に友人や家族を招いてもてなすことが多いから、広いリビングも仕切らず、ソファのあるコーナーと、趣味の楽器演奏やお子さんがお絵描きをするコーナーの2つに分けて、使っています。

明るさと清潔感が際立つ、
白いキッチン&ダイニング

リビング横はキッチン&ダイニング。引っ越し時にリフォームし、白いキッチンにしました。料理好きなカーステンさんと奥様のアヌメッテさんは、キッチンの作業台には物を置きたくないから、収納スペースが多くしたそうです。
暖房機隠しの木製カバーは、カーステンさんのDIY。彼の大ヒット作、ソファテーブル「ビーン(豆)」のモチーフをつけました。
「ビーンは僕の子供のようなものだから、こうしてキッチンに飾って初心を忘れないようにしています。若い頃は棚をとりつけたり、引き出しの取手を変えたりと、DIYもよくしていたけれど、いまは時間がなくて残念。もともと、DIYが好きで、家具デザイナーになったようなものだから。」と、カーステンさん。

リビングとつながった、
家族で憩うサンルーム

カーステンさんがこの家で一番気に入っているのが、リビングと繋がるサンルーム。カーステンさんの定位置は右側のライトグリーンのソファ。ピンクのソファは、6歳のユリエちゃんと奥様のアヌメッテさんの場所。壁面を覆う大きなガラス窓からは、庭の草花ばかりか、通りを隔てたご近所のレンガの屋根も見えます。カーステンさんがフレデリクスベアを好きな理由のひとつは、建物や街並の美しさだけでなく、住民の定住率が高いから、近隣とのよい関係が築きやすいからだそう。

週末にはテラスで朝食、
贅沢なベッドルーム

2階のベッドルーム。ベッド以外に大きな家具がないせいか、とても広く感じます。クローゼットは作り付けなので、テラス側には十分なスペース。
これだけの広さだと、いろいろな物を置きたくなりますが、カーステンさんはベンチとお母様から譲られた椅子1客だけ。引っ越し時に5ケ月かけてリフォームしたそうですが、ベッドルームの床も美しいまま。ショップや秘書からの電話応対に忙しいカーステンさんを横目に、黒柴のミルーはお気に入りのラグでまったりしています。

カーステンさん一家のお気に入りアイテム

キッチンのコーナーに、ユリエちゃんの絵とデンマーク人アーティストの絵を並べて飾り、真っ白い空間に華を添えています。「家の中に置くものは、名作家具やアンティークとか、そういうものではなく、家族が本当に好きなものだけ。」と話すカーステンさんらしいコーナー。

リビングの一角にある大きな椅子は、ハンス・J・ウェグナーの名作、「ウィングチェア」。奥様のお気に入り。名作家具があちこちに置かれているのに、それだけが目立っていないのは、部屋になじむ色あいを選び、愛着を持って使っているからかもしれません。

家族みんなが好きな明るいサンルームですが、カーステンさんの定位置はここ、ライトグリーンのソファ。新聞やアートブックを読むのがすきだそう。愛犬ミルーも興味津々です。

この家が建てられた1928年当時は、ここにクリスタルのシャンデリアが下がっていたかもしれません。でも、カーステンさんは、デンマークのデザイナー、ポール・ヘニングセンのP.H. ランプを下げました。

キャンドルの灯りは人の心を落ち着かせる効果があるそうで、デンマークでは季節を問わず、日常的に使われています。たとえば、窓辺には花を飾るだけでなく、キャンドルもおすすめ。高さを合わせたオブジェを組み合わせ、個性的に演出します。

TEXT : 冨田千恵子(北欧デザイン・ライター)

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