デザイン

デザイナー

Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)

家具デザイナー

生誕100周年で再注目される、家具デザイナー、ウェグナーの功績

「Yチェア」といえば、デンマーク人の家の定番椅子で、日本でも北欧インテリア好きの間ではおなじみです。背面の形が「Y」の字に見えるため、この名前がつきましたが、1950年の発売以来、「世界で最も売れた椅子のひとつ」といわれるベストセラーです。

そのYチェアをデザインしたのが、ハンス・J・ウェグナー。生涯で500もの家具を手がけた、デンマークが誇る巨匠家具デザイナーのひとりです。今年は彼の生誕100周年にあたるため、コペンハーゲンの「デザイン・ミュージアム」と、生誕地トナーの「ウェグナー・ミュージアム」で大掛かりな回顧展が開催中ですが、デザイン・ミュージアムの展示に出かけてきました。

PHOTOS:Designmuseum Danmark
1960年、大統領選に向けたニクソンとのテレビ討論会で「ザ・チェア」に座るケネディ。
PHOTOS:Designmuseum Danmark
自身がデザインした椅子に囲まれて寛ぐ、ウェグナー。
PHOTOS:Designmuseum Danmark
1950年の発売以来、ベストセラーのYチェア。
PHOTOS:Designmuseum Danmark
Yチェアのスケッチ。
PHOTOS:Designmuseum Danmark

完璧な椅子を追求したデザイナーの努力を垣間見る

回顧展のタイトルは、「ジャスト・ワン・グッドチェア」。直訳すると、「ただひとつのすぐれた椅子」になりますが、これはウェグナーが1952年に語った、『よい椅子を作りたいだけ。でも、それが難しい。』という言葉がベースになっています。展示の一番目は、彼が愛用したデスク。その上には綿密に描かれたスケッチが置かれています。
ウェグナーが残したスケッチは総数で3,500以上にもなるそうで、完璧な椅子を追求したデザイナーの努力を垣間見るようでした。続いて、家具職人の修業時代のレアな写真や作品、「チャイナチェア」、「ザ・チェア」、「Yチェア」、「ピーコックチェア」など、名作椅子のオリジナルが並び、そのうちの50脚は座り心地を試せるので、家具マニアには嬉しいはず。

家具職人からスタートしたウェグナーは、木の特性を生かした有機的なフォルムを重視し、試作品はすべて自分の手で作り上げ、細かいディテールにこだわりました。中国や英国の古典的な椅子からインスピレーションを得て、量産化に向けてシンプルかつ機能的にリデザインし、デンマークデザインを世界中に知らしめた立役者のひとりでもあります。ウェグナーの椅子はデザインされてから、60年以上の時を経ても古びて見えず、モダンで詩的な要素に溢れています。
たとえば、「ケネディが1961年にテレビ討論会で座った『ザ・チェア』を、オバマ大統領がデンマークを訪れた際に購入した。」というエピソードは、ウェグナーが語った「ただ一つのすぐれた椅子」とは、「何世代にも渡り、多くの人々に愛されること」ということを意味するのかもしれません。巨匠デザイナーの一途な探究心にふれたようで、ウェグナーの椅子を再認識した展覧会でした。

展示会場
展示会場
展示会場。
ウェグナー愛用のデスクに置かれたスケッチ
ウェグナー愛用のデスクに置かれたスケッチは初公開。

ハンス・J・ウェグナー生誕100周年記念回顧展
Wegner, just one good chair

2014年11月2日まで開催。

Designmuseum Danmark

HP http://designmuseum.dk
住所 Bredgade 68, 1260 København K
最寄り駅:デンマーク国鉄 Østerport、メトロ Kongens Nytorv
電話 +45 3318 5656
開館時間 11:00〜17:00、水曜日は11:00〜21:00
休刊日 月曜日、イースター、1/1〜2、12/24〜26、12/31

ハンス・J・ウェグナー Hans J. Wegner

1914年デンマークのトナー生まれ。コペンハーゲンの家具職人養成学校で学び、1943年にデザイン・スタジオをたちあげた。生涯で500余りの家具を手がけ、そのほとんどが量産化された。2007年没。

参考文献:*Hans J Wegner on Design by Jens Bernsen, Danish Design Centre (1995)
*Wegner, just one good chair by Christian Holmsted Olesen, Hatje Cantz Verlag (2014)

TEXT : 冨田千恵子(北欧デザイン・ライター)

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