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映画「さよなら、人類」トークイベント

「さよなら、人類」と聞くとバンド「たま」のヒット曲を思い浮かべる方もいらっしゃるのでは?

第71回、ヴェネチア国際映画祭にて、アカデミー賞受賞作『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を抑え、金獅子賞(グランプリ)を受賞したロイ・アンダーソン監督最新作『さよなら、人類』が8月8日(土)から東京のYEBISU GARDEN CINEMA 他順次全国の劇場で公開されます。

実はこの映画、第27回東京国際映画祭では『実存を省みる枝の上の鳩』というタイトルで出品されました。しかし、配給会社が同作の世界観を表す邦題を思案するなかで『さよなら、人類』というタイトルが挙がり、「たま」の柳原陽一郎氏からの公認を受けるに至ったというエピソードがあるのです。

見るからにパッとしないセールスマンコンビ、サムとヨナタンが売り歩くのは「面白グッズ」。この二人が目撃するさまざまな人生。
スウェーデンが生んだ、映画界、CF界の巨匠、ロイ・アンダーソン監督が構想15年、撮影4年の歳月をかけた作品は、全39シーンにおいて野外撮影は一切行なわず、CGもほとんど使わず、自身のスタジオにセットを組んで撮影したアナログ巨編なのです!「人間」をテーマにした、“リビング・トリロジー”3部作となっており、『散歩する惑星』(‘00)、『愛おしき隣人』(‘07)、そして最新作『さよなら、人類』と続きます。

今回は、コピーライターで「北欧のおいしい話」の著者でもある、森百合子氏、そしてトーキョーノーザンライツフェスティバルのディレクターである、笠原貞徳氏をゲストにお迎えした、映画公開記念の第一弾トークイベントに参加して来ました。
タイトルは、「可愛くて、ちょっとブラック!?な北欧ワールドへようこそ!『さよなら、人類』から読み解く北欧映画の魅力」です。

トークの合間には、ロイ・アンダーソン監督の過去の作品の予告編やCM作品の上映などもあり、とても内容の濃い時間でした。

森さんは、北欧関連の本を何冊も執筆されている方で、北欧の暮らしや文化への知識も豊富です。そんな森さんが開口一番、「見ておいたほうがいい映画です」と仰ったのが印象的でした。ロイ・アンダーソン監督はCMの人であり、「さよなら、人類」を見ていると、80年代くらいまでの日本のCMを思い出すとも仰っていました。
北欧というと、オシャレなデザイン、可愛いインテリアのイメージを持っている方が多いかもしれませんが、実は北欧の映画は、テーマが重いものが多く、社会問題など自分たちに起こる日常の問題から目を逸らさずに取り上げることが多いそう。また北欧の人々も、映画とはそう言うものだ、と思っているそうです。キラキラしたイメージとは裏腹にそんなちょっとブラックな一面も!?「さよなら、人類」も、シュールでナンセンスな中にも、ふわっと幸せを感じるシーンがあり、見終わった後は幸せになれる映画、とコメントされていました。

もう一方のゲストの笠原さんは、「トーキョーノーザンライツフェスティバル」という北欧映画祭を立ち上げたディレクターの方ですが、なんと北欧の国々に行かれたことは、まだないそうです。でも、小道具など映画の現場で仕事をされていたこともあり、映画に造詣が深い方です。そんな笠原さんは、ロイ・アンダーソン監督は、巨匠というよりは「名匠」。なぜなら、彼のこだわりある作風は誰にも真似出来ないから、と仰っています。唯一無二の存在で、まるで画家のようだとも表現されていました。「北欧映画」と言っても国ごとに色をつけるのは難しいし、ヨーロッパ各国の映画監督の影響を幅広く受けているという印象だそう。正直過ぎるほど正直な国民性だからこそ、ストレートに現実と向き合い、真摯な姿勢が見える映画が多いのではないか、と語っていらっしゃいました。

お二人のお話しを聞いていると、「さよなら、人類」だけでなく北欧映画の世界をもっと深く覗いてみたくなる、魅力的なトークショーでした。

「さよなら、人類」公式ウェブサイトもシニカルでウィットに富んでいます。
板尾創路さんがナレーションを担当する予告編も味のある仕上がりになっています。
「世の中、上手く行かないことばかり・・・」と最近お嘆きのあなた?
ぜひ、映画館に足を運んでみて下さい。明日もあるさ!!


©Roy Andersson Filmproduktion AB


©Roy Andersson Filmproduktion AB

さよなら、人類

8月8日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー!

監督・脚本:ロイ・アンダーソン(『散歩する惑星』『愛おしき隣人』)
出演:ホルガー・アンダーソン、ニルス・ウェストブロム
原題:A Pigeon Sat on a Branch Reflecting on Existence
2014年/スウェーデン=ノルウェー=フランス=ドイツ/カラー/100分

©Roy Andersson Filmproduktion AB
後援:スウェーデン大使館
提供:ビターズ・エンド、スタイルジャム、サードストリート
配給:ビターズ・エンド

http://bitters.co.jp/jinrui/

TEXT : 曽根瑞穂

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