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ノルウェーの名匠、ベント・ハーメル監督が贈る最新作「1001グラム ハカリしれない愛のこと」

ノルウェーの名匠、ベント・ハーメル監督が贈る最新作。
2014年度アカデミー賞外国語映画賞ノルウェー代表作品「1001グラム ハカリしれない愛のこと」が10月31日より、いよいよ日本で公開!

計る。測る。量る。
ノルウェーの国立計量研究所に勤める科学者で、「ハカる」ことのエキスパートであるマリエ。でも、自身の結婚生活はうまくいかず離婚手続き中、更に父親が倒れ、周囲の何もかもが“壊れゆく”と悩むクールで知的な理系女性。そんな彼女が重さの基準となる自国の《キログラム原器》を携えてパリの国際セミナーの代理で出席することになります。
舞台はノルウェーからパリへ。人間の可笑しみや、予測不能の出来事に遭遇する人間の日常を描くハーメル監督の独特の世界観が広がっていきます。そして、実在する「ノルウェー国立計量研究所」とパリ郊外にある「国際度量衡局」での撮影が許可されたことが、普段「重さ」の基準について知ることのなかった私たちをより興味深く「ハカリ」の世界に誘います。

観終わって印象に残るのは、全体を通した色彩の美しさ。ノルウェーのシンプルながらもモダンで洗練された住宅やインテリア、パリの風景などもさることながら、どのシーンもコントラストの計算された色使いが登場人物の言葉と共に心に染み渡ります。
また、『キッチン・ストーリー』や『ホルテンさんのはじめての冒険』などで愛すべき中年の男性を主人公にしてきたハーメル監督が、初めて女性を主人公にした作品としても話題です。マリエを演じるのは、ノルウェーの実力派人気女優、アーネ・ダール・トルプ。ストーリーの展開と共に徐々にその表情を変えていく彼女の演技も魅力的です。正確さを追求される科学の世界、それに相対するように揺れ動く人間の感情。時折シュールなセリフやユーモアも交えながら、人生において大切なことを伝えてくれているように感じます。

愛って何グラム?人生って何グラム?一体、どのくらいの重さなのでしょう?でも、誰かが決めたハカリ方に捕われずにほんの少し勇気を出して一歩踏み出してみたら、新しい幸せが見つかるかもしれません。いつも目にしているのに気付かなかったこと、そばにあるのに気に留めていなかかったことがふとした瞬間に心に入って来たら、それだけで未来は変わるかもしれません。そんな小さな奇跡や可能性は誰にもあるんだよ、ということを気付かせ勇気を与えてくれる映画です。
映画を観た後、もう一度ポスターやチラシを見てみて下さい。クスッと笑った後、温かい気持ちになれますよ!

『1001グラム ハカリしれない愛のこと』  

10月31日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国ロードショー  
公式ウェブサイト:http://www.1001grams-movie.com/ 
監督&脚本&制作:ベント・ハーメル 『クリスマスのその夜に』
出演:アーネ・ダール・トルプ、ロラン・ストッケル
英題:1001grams
配給:ロングライド
(2014年/ノルウェー=ドイツ=フランス/91分)
BulBul Film, Pandora Film Produktion, Slot Machine (c) 2014

TEXT : 曽根瑞穂

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